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子育てとスマートフォン

2013年12月9日

スマホに子守りをさせないで!

子育て家庭でのスマートフォンの利用が増えている。親がスマホに気を取られ子どもの安全に配慮できない状況や、子どもに使わせて心身の発達に影響がないかも心配になる。

乳幼児のいる家庭は特に、スマホの使用に注意を払いたい。

東京都渋谷区の小児科「かずえキッズクリニック」では、待合室の長いすで親がスマホの画面に見入っているうちに、赤ちゃんがいすから落ちるなど、ヒヤリとする場面がよくあるという。院長の川上一恵さんは、「スマホの画面を見ていると視野が狭くなり、子どもの近くにいても危険を察知できないことがある。乳幼児の見守りが必要なときの使用は控えて」と注意を促す。

幼稚園児や保育園児の親のスマホ利用について調査しているNPO法人子どもとメディア(福岡市)によると、「気づいたら、子どもが延々とスマホを使っていた」「勝手にロックを解除していた」といった悩みも生じている。

代表理事の清川輝基さんは、「幼児でも触っているうちに操作できてしまう。子どもが勝手に使わないようにする必要がある」と指摘する。まず、スマホは親の道具であり勝手に使ってはいけないことを教える。さらに子どもの手の届かない場所に置くようにする。

日本小児科医会では2004年に子どもとメディアの接触について提言(別表)をまとめている。この提言はテレビやビデオ、パソコンについて言及したものだが、「これにスマホを加えて考えてほしい」と、同会常任理事の内海裕美さんは言う。同会では、来月から「スマホに子守をさせないで!」と呼びかける啓発活動を始める。

「乳幼児期の親子のふれあいや対話は、子どもの発達に欠かせない。スマホの画面をタッチするだけでなく、積み木や石ころなど様々なものを触って触覚などを刺激することや、外遊びで体を動かすことも大切にしてほしい」と内海さん。

ただ、スマホの普及に伴い、最近はしつけや遊び、知育をうたった子ども向けのアプリが登場し、利用者も急増している。そうしたなか、アプリの企画・販売企業が独自に利用上のガイドラインを作成し、親子で会話しながら使うことや、創造的な活動になるよう工夫することなどを提唱している。

東海学院大学講師、佐藤朝美さん(幼児教育工学)は、「無料のアプリをよく吟味せずに使ってしまいがち。おもちゃや絵本を購入するときと同様に、内容をよく確かめて」と勧める。
使わせる場合には、大人が一緒に見て会話を交わすようにする。
うまく声をかけられない人は、
(1)「○○ちゃんは、それを選んだんだね」など、子どもの行為を言語化する
(2)「その色にしたのはなぜ?」など、操作の理由を聞く
(3)操作の結果を褒めるようにする。
「スマホはあくまで現実の経験を補う程度のものと考えて、生活全体を見渡して利用のあり方を考えることが大切です」と佐藤さんは話す。

「スマホに子守りをさせないで!」ポスター

日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会の提言

  • 2歳までのテレビ、ビデオ視聴は控えましょう
  • 授乳中、食事中のテレビ、ビデオの視聴はやめましょう
  • すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1日2時間までを目安と考えます。
  • 子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パソコンを置かないようにしましょう
  • 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう