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兵庫県小児科医会 > 小児保健 > プール熱について

掲載日:2016.08.06

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プール熱について

小児保健

プール熱とは、正式名は「咽頭結膜熱」といい、アデノウイルスで起こる夏風邪のひとつです。感染経路は主に飛沫感染ですが、目やになどによる接触感染や、プールの水などを介してウイルスが経口感染することもあります。
なので、プール熱という名前がついていますが、夏だけに発症するわけでもなく、またプールに入らなくても発症します。

主な症状は、発熱・咽頭痛・結膜炎ですが、すべての症状がそろわないこともあります。急な発熱で発症し、その後咽頭痛や目の症状が現れて来ます。そしてこれらの症状が3~7日間続きますが、午後になると熱が上がってくるという熱型を示すことが多く、高熱のわりには比較的元気なことも多いです。
また下痢などの症状を伴うこともあります。

原因はアデノウイルスですが、最近は小児科外来で迅速診断キットを用いて、咽頭ぬぐい液を採取することにより容易に診断できます。潜伏期間は5~7日なので、兄弟間では、ひとりが治ったと思ったら次の兄弟が発症するということになります。

治療は、対症療法のみで、抗生物質は無効です。高熱が続くため水分補給や栄養管理に気をつけることが必要です。のどが痛くて食事が進まないときは、ゼリーやアイスなど刺激の少ない柔らかいものを摂ってください。また、家庭での対応としては、家族への感染予防のため手洗いやうがいに気を付け、結膜炎の症状がある時には、接触により感染するのを避けるため、タオルなどを共有しないなどの注意が必要となります。

幼稚園や学校に行ってはいけない学校保健法第二種伝染病に指定されていますので、プール熱と診断されれば、登園・登校はできません。家庭で安静に過ごし、症状がなくなって2日を経過すれば登園・登校してもよいことになっていますので、主治医の指示に従ってください。

2016年8月6日 神戸新聞「すきっぷ」掲載記事より
杉原小児科内科医院 杉原加寿子